プログラム

研修の流れ

総合診療専門研修は、卒後3年目からの専門研修(3年間)で構成されます。

  • 1年次修了時:患者の情報を過不足なく明確に指導医や関連職種に報告し、健康問題を迅速かつ正確に同定することを目標とします。
  • 2年次修了時:診断や治療について標準的プロセスを用い、取り巻く背景が安定しているような患者の比較的単純な健康問題に対して的確なマネジメントを提供することを目標とします。
  • 3年次修了時:多疾患合併で診断や治療プロセスに困難さがあったり、患者を取り巻く背景も疾患に影響したりしているような患者の複雑な健康問題に対しても的確なマネジメントを提供することができ、かつ指導できることを目標とします。
  • また、総合診療専門医は日常遭遇する疾病と傷害等に対する適切な初期対応と必要に応じた継続的な診療を提供するだけでなく、地域のニーズを踏まえた疾病の予防、介護、看とりなど保健・医療・介護・福祉活動に取り組むことが求められますので、18ヶ月以上の総合診療専門研修I及びIIにおいては、後に示す地域ケアの学びを重点的に展開することとなります。
  • 3年間の研修の修了判定には以下の3つの要件が審査されます。
    1. 定められたローテート研修を全て履修していること
    2. 専攻医自身による自己評価と省察の記録、作成した最良作品型ポートフォリオを通じて、到達目標がカリキュラムに定められた基準に到達していること。
    3. 研修手帳に記録された経験目標が全てカリキュラムに定められた基準に到達していること。様々な研修の場において、定められた到達目標と経験目標を常に意識しながら、同じ症候や疾患、更には検査・治療手技を経験する中で、徐々にそのレベルを高めていき、一般的なケースで、自ら判断して対応あるいは実施できることを目指していくこと。

 

週間計画
◯ 基幹施設(山口県立総合医療センター)

 

[総合内科(総合診療専門研修Ⅱ)]

7:30 ~ 8:00 Webカンファレンス
8:30 ~ 12:00 病棟業務



8:30 ~ 12:00 巡回診療外来
13:00 ~ 17:00 病棟業務
13:00 ~ 17:00 救急外来
13:30 ~ 14:00 巡回診療カンファレンス
14:00 ~ 14:30 入院患者カンファレンス
14:30 ~ 15:30 レジデントデイ
16:00 ~ 16:30 病棟多職種カンファレンス

平日宿直(1 ~ 2回 / 月)、土日の日直・宿直(1 ~ 2回 / 月) ※週1日はへき地支援

 

[内科]

8:00 ~ 9:00 朝カンファレンス



9:00 ~ 10:30 病棟業務
10:30 ~ 12:00 午前検査
9:00 ~ 12:00 午前外来
13:00 ~ 16:00 午後検査
16:00 ~ 17:00 病棟業務

平日宿直(1 ~ 2回 / 月)、土日の日直・宿直(1 ~ 2回 / 月) ※週1日はへき地支援

 

[小児科]

8:30 ~ 9:00 朝カンファレンス



9:00 ~ 10:30 病棟業務
9:00 ~ 12:00 午前外来
13:00 ~ 16:00 検診 / 予防接種
13:00 ~ 17:00 病棟業務
16:00 ~ 18:00 カンファレンス

平日宿直(1 ~ 2回 / 月)、土日の日直・宿直(1 ~ 2回 / 月) ※週1日はへき地支援

 

[救急科]

8:30 ~ 9:00 朝カンファレンス



9:00 ~ 17:00 ER / 病棟 / HCU

平日宿直(1 ~ 2回 / 月)、土日の日直・宿直(1 ~ 2回 / 月) ※週1日はへき地支援

 

◯連携施設 総合診療専門研修I (下関市立豊田中央病院の場合)
7:30 ~ 8:30 症例カンファレンス
8:30 ~ 12:00 外科・健診
13:30 ~ 16:00 出張診療所外来
13:00 ~ 17:15 訪問診療
13:00 ~ 17:15 救急外来
13:00 ~ 17:15 健診・予防接種
13:00 ~ 17:15 病棟
16:00 ~ 17:00 多職種カンファレンス
17:30 ~ 18:30 委員会活動
院外研修(小児科研修の補完など)

平日宿直(3回 / 月)、土日祝日の日当直(2 ~ 3回 / 月)

 

施設群における専門研修コースについて

図2に当プログラムの施設群による研修コースの一例を示します。図2は、へき地勤務を義務とする修学資金制度にも対応できるものを示しています。後期研修1年目は、訪問診療に力を入れている連携施設・下関市立豊田中央病院での総合診療専門研修Iを行います。後期研修2年目は、連携施設・岩国市立錦中央病院で総合的な外来・入院を中心に総合診療専門研修IIを行います。へき地医療機関勤務中は、週1日の研修日を確保し「その他の診療科」の研修を行います(※「患者の5%以上が学童期以下」を満たさない場合も週1日研修で補完します)。

後期研修3年目に山口県立総合医療センターで内科・小児科・救急科の領域別必修研修を行います。1・2年目のへき地医療勤務経験を生かし、3年目は週1日程度へき地支援を行い、地域医療に貢献を続けます。

図2
1年目 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
施設 下関市立豊田中央病院(へき地医療機関)
領域 「診療 Ⅰ」(週1日:山口県立総合医療センター等で「その他」の研修)
2年目 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
施設 周防大島町東和病院(へき地医療機関)
領域 「診療 Ⅱ」(週1日:「その他」の研修) 「内科」(週1日:山口県立総合医療センター等で「その他」の研修)
3年目 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月
施設 山口県立総合医療センター
領域 「救急科」 「小児科」 「内科」 「診療 Ⅱ」

※ 修学資金制度(自治医大卒医等のへき地義務勤務有)に対応できるローテーションの一例

※ 修学資金制度に該当しない専攻医については、山口県立総合医療センター2年も選択可能

図3 に本研修 PG での 3 年間の施設群ローテーションにおける研修目標と研修の場を示しました。ローテーションの際には特に主たる研修の場では目標を達成できるように意識して修練を積むことが求められます。

当プログラムは3年間としていますが、修得が不十分な場合は修得できるまでの時間を延長することになります。

連携施設群

当プログラムは基幹施設1施設、連携施設9施設の合計10施設の施設群で構成されます。施設群は、基幹施設の他は、すべて県が定める「へき地(過疎地域自立促進特別措置法、離島振興法、山村振興法の指定する地域)」に位置しています。各施設の診療実績や医師の配属状況は「11.研修施設の概要」を参照して下さい。

専門研修基幹施設 (図1)

山口県立総合医療センター(へき地医療支援センター)が専門研修基幹施設となります。

総合診療専門研修 Ⅱ 内科
内科 循環器内科、消化器内科、脳神経内科、内分泌内科、血液内科、総合内科
小児科 外来、入院、救急、検診を実施
救急 救命救急センター
その他 耳鼻咽喉科・リハビリテーション科、整形外科・麻酔科・脳神経外科・精神科 産婦人科・外科・放射線科・泌尿器科・皮膚科・形成外科・眼科

 

専門研修連携施設(図1)

本研修プログラムの施設群を構成する専門研修連携施設は以下の通りです。

全て、県が指定するへき地医療機関であり、県の就学資金制度(自治医科大学及び山口大学緊急医師確保対策枠)の対象施設です。全てに、総合診療専門研修指導医(日本プライマリ・ケア連合学会認定医)が常勤しています。へき地に位置するため、人口規模や高齢化率などにより診療実績基準を一部満たしていない場合がありますが、週1日の研修日を確保し、補完するようにしています。

図1 研修体制

長州総合診療プログラムの県下病院マップ画像(豊田中央病院、美祢病院、美東病院、錦中央病院、美和病院、大島病院、橘病院、東和病院、山口県立総合医療センター)

[下関市]

  • 下関市立豊田中央病院

[美祢市]

  • 美祢市立病院
  • 美祢市立美東病院

[周防大島町]

  • 周防大島町立大島病院
  • 周防大島町立橘病院
  • 周防大島町立東和病院

[岩国市]

  • 岩国市立錦中央病院
  • 岩国市立美和病院

[萩市]

  • 萩市離島・中山間地域等へき地研修診療所群