てんかんセンター
てんかんセンターの診療内容
てんかんは人口の約 1 %を占める身近な病気ですが、適切に治療されていない、または難治な患者さんが多くおられます。当センターではてんかんに関する診断から治療まですべてに対応します。特に難治例に対しては、高密度脳波計やビデオ脳波同時記録装置等による精密かつ高度な検査および外科治療を提供します。具体的診療内容は以下の通りです。
- てんかん一般外来診療
- 脳波専門医による脳波判読
- 高密度脳波検査(256ch脳波)
- 長期継続ビデオ脳波同時記録(入院)
- てんかん手術 (頭蓋内電極留置、焦点切除、脳梁離断、迷走神経刺激装置埋込術等)
- 神経救急における脳波モニタリング(けいれん重積等)
- 脳死判定(脳死移植を前提とした)
- てんかんのセカンドオピニオン
外来/入院でのてんかん診療フローチャートを示します。
高密度脳波検査(256ch脳波)
長期継続ビデオ脳波同時記録
当センターで行うてんかん手術
てんかん手術は発作を消失させる根治的手術と発作の軽減を図る緩和的手術があります。
根治的手術
開頭手術を行い頭蓋内に電極を留置した後、ビデオ脳波同時記録(前述)を病棟にて1週間程度行います。発作時の頭蓋内脳波を解析し、てんかんの原因となる部位(てんかん焦点と言います)を特定した後に、再度開頭手術を行い、てんかん焦点を切除して発作を止めます。てんかんの原因や焦点の位置にもよりますが、50-70%で発作消失が見込まれます。
具体的には側頭葉切除術、焦点皮質切除術、乳幼児に行なわれる大脳半球離断術があります。詳細は担当医にご相談ください。
緩和的手術
開頭手術により脳の線維連絡を遮断し、てんかん発作の広がりを抑える離断術と電気刺激装置を体内に埋込む迷走神経刺激療法があります。緩和手術では発作の消失率は4%程度ですが、50-70%で発作の軽減が見込まれますので、危険な発作で困っておられる患者さんや、多くの薬を飲んでおり副作用が気になる患者さんには有効な方法です。手術の適応に関しては担当医師とご相談ください。
地域医療連携ネットワークの構築
病院内の診療科の連携はもとより、近隣診療施設および関係機関と地域医療連携ネットワークを構築し、切れ目のない連携を図ります。 また臨床研究の推進や専門医師および技師の人材育成にも貢献します。
総合周産期母子医療センターとの連携
てんかんのある女性は、結婚、妊娠・出産・育児に大きな不安を抱えておられることと思います。当センターでは総合周産期母子医療センターとの相談窓口を設け、カウンセリングを通して、てんかんの女性患者さんの不安や疑問が解消できる体制を整えています。妊娠希望のあるなしにかかわらず、てんかんのある若い女性の受診をお勧めします。
てんかん患者さんの支援・相談窓口
てんかん患者さんは治療以外にも社会・就労・教育、運転免許、公的支援制度、指定難病の申請、てんかんの女性および高齢者が抱える緒問題など多くの難題を抱えています。当センターではこれらの問題解決に対応できる体制をとっています。セカンドオピニオン外来としてもご利用頂けます。
てんかん拠点病院として
県内唯一のてんかん拠点病院として以下の対応を行なっています。
- 専門診断検査によって、最新のガイドライン等に基づいた薬物治療を提供します。
- 必要に応じて専門的な診断検査(ビデオ脳波同時記録、高機能画像診断等)や手術治療を検討します。
- 医療機関、行政機関、介護施設、障害者施設、地域包括支援センター、保育所、教育機関、企業等と連携し、就学・就労支援など生活の場で必要な支援を提供します。
- てんかん患者・家族への適切な療養上の指導・助言(発作時の対応、保育・教育、周産期の服薬、就労、運転等)を行います。
- てんかんの医療費助成(小児慢性特定疾患、指定難病、自立支援医療等)の利用を適切に支援します。
- てんかんの医療連携・情報収集発信・人材育成の県拠点の役割を果たします。
教育と啓発活動
てんかんに関する出前講義、講演会も行ないます。ご希望があればご相談ください。
てんかん専門医、脳波専門医の育成も行なっています。
問い合わせ先
〒747-8511 山口県防府市大字大崎10077番地
山口県立総合医療センター てんかんセンター
電話 0835-22-4411(代表)