手外科センター

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センター長
重冨 充則

平成24年7月より山口県立総合医療センターに手外科センターを設立しました。

手は極めて繊細な運動器官であると同時に知覚器官でもあり、少しでも障害があれば日常生活に大きな影響を及ぼします。また手は、その機能とともに見た目も重要な部位であり、整容面への配慮もかかせません。

外傷や疾患によって手の機能や整容が損なわれる状況に対して治療を行う場合は、手術用顕微鏡を用いた血管吻合術や神経縫合術といった高度な手術手技を必要とします。特に複雑な手の障害の治療に際しては個々の障害に対する深い知識と経験だけでなく、これらを総括して手全体としての機能を再建し創造する計画性と芸術性が要求されます。

このような手外科の治療は、日本においては整形外科や形成外科の一部の医師が、超専門領域として携わってきた歴史があります。

山口県立総合医療センターには、この様な超専門領域である手外科医療を高度なレベルで実践できる手外科専門医と整形外科専門医、形成外科専門医が連携し、それぞれの得意とする領域を基盤として質の高い治療を提供します。

 

手外科センター長 重冨 充則

 

概要

人類が現代の高度な文明社会を築けたのは細かな動作をおこなえる手があったからこそだと言われています。ですので、痛みがあったり動きの悪い手は日常生活において大きな障害となりますし、手は常に露出している部位なので、手指の変形も患者さんにとっては大きな障害となります。患者さんの痛くて手が使えない」「指がうまく動かない」「手を人前に出したくない」この様な悩みに答えるのが「手外科」という分野です。

手とは、一般的には手関節・手掌・指からなる部位を指し、他の四肢と同様に骨、関節、神経、腱、血管、靭帯、筋肉などから構成されます。しかし手には他部位とは異なる構造上の特殊な点がいくつかあります。手関節は多数の小さな骨とTFCCという半月板様組織からなる複雑な動きをする関節ですので、痛みや機能障害の原因が多岐にわたりますし、手掌には沢山の腱や神経、血管が重なって走行するので小さな傷でも同時に複数の損傷が生じます。さらに、指になるとそれぞれの構成組織はさらに複雑で繊細となり神経や血管は直径が1mm未満の極小サイズとなるので確実な修復には拡大鏡や手術用顕微鏡が必要となることなどです。

また、手は機能面でも非常に繊細であることを求められますから、それを専門に診る医師は、手の構造に精通し、かつ細かな組織を丁寧に扱ったり手術用顕微鏡を使って血管を吻合したりと特別に訓練された医師で、一般に整形外科や形成外科を数年間研修してから、さらに数年間、手の治療を専門に学ぶ必要があります。

このため、手外科診療では、このような手の特殊性に精通し、 かつ、専門的な知識と技術を有している医師から治療を受けることが大切です。