脳神経外科
機能神経外科とは、パーキンソン病、ジストニアや振戦などの不随意運動症、難治性神経因性疼痛、痙縮などの機能的神経疾患に対して、外科治療等を行い症状の緩和を図る治療分野です。治療法を下記に示します。
治療法
1. 大脳深部刺激療法(Deep Brain Stimulation;DBS)
定位脳手術装置という特殊な装置を用い、脳深部刺激装置を体内に植え込み、脳を電気刺激することにより運動機能の改善を図ります。パーキンソン病、本態性振戦振、ジストニアなどが適応になります。
2. 定位的視床破壊術
振戦(手のふるえ)により日常生活に支障をきたしている患者さんが対象になります。DBSと同様に定位脳手術装置を用い、熱凝固針を視床という部位に刺入して、径数mmの範囲で熱により破壊します。短時間で手術が終了しますので、体内に刺激装置を埋込みたくない患者さんや、高齢者の患者さんに有効な方法です。
3. 脊髄刺激療法(Spinal Cord Stimulation;SCS)
鎮痛薬でコントロールが出来ない難治性疼痛に対して脊髄電気刺激装置を体内に埋込み脊髄を電気刺激することで、疼痛の緩和をはかる治療法です。適応としては脳卒中後疼痛、脊髄損傷後疼痛、腕神経叢障害性疼痛、幻肢痛、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、術後腰下肢痛、帯状疱疹後疼痛などが挙げられます。
4. 痙縮に対する外科治療
脳血管障害、脳性麻痺、頭部外傷、無酸素脳症、脊髄損傷、多発性硬化症など、様々な原因で引き起こされる痙縮に対して外科治療を行い、痙縮の緩和を図ります。方法としてはボツリヌス毒素局所注射、選択的脊髄後根切断術、選択的末梢神経縮小術、バクロフェンポンプ(ITB療法)があります。過去の治療経験から、ボツリヌス毒素局所注射とITB療法を主体に治療を行います。
機能神経外科手術
新たな手術が可能になります。
- 定位脳手術という手法を用い、脳深部の小さな腫瘍病変に対する生検術をおこないます。
- 術中神経生理モニタリングにより、手術中に運動、感覚,視覚、聴覚などの機能をモニタリングしながら安全な手術を行います。