薬剤部
知っておきたい薬の豆知識
1. 食べ物と薬について
ワーファリン(血液を固まりにくくして、血のかたまりができるのを抑える薬)を内服している方は、納豆およびクロレラ食品は食べないようにして下さい。納豆菌は腸内でビタミンKを合成しますしクロレラにはビタミンKが多く含まれています。このビタミンKがワーファリンの作用をさまたげて効果を弱くするためです。
アダラート、バイミカード(血管を広げて血圧を下げる薬)などの薬を服用されている方は、グレープフルーツジュースと一緒には内服しないで下さい。グレープフルーツジュースに含まれる苦み成分が、これらの薬の血液中の濃度を上げるため、効果が強くあらわれます。
2. 薬と薬について
バクシダール、シプロキサン、クラビット(細菌を殺し、感染を治療する薬)と胃薬(アルミニウム、マグネシウム含有制酸剤)や鉄剤を同時に服用すると薬のききめが弱くなります。
3. 薬を飲む時間について
グルコバイ、ベイスン(糖質の消化吸収を遅くして食後の急激な血糖上昇を防ぐ薬)を服用されている方は、食事の直前に内服してください。食物と薬がいっしょに消化管の中にないと効果がなくなるためです。
4. 特殊な使い方の薬について
ニトロペン(狭心症の発作時に使う、冠血管を広げる薬)を使う場合は、噛まないで舌の下で溶かして下さい。飲み込むと、効果がなくなるためです。また、ミオコールスプレーを使用する場合も舌下に噴霧しますが、急に息を吸い込まないようにしながら口を閉じてください。高用量を直接肺から吸収することによる副作用を防ぐためです。
5. 吸入薬について
気管支喘息に用いられる吸入薬には、気管支を広げて呼吸を楽にする薬や、炎症を抑えて発作を予防する薬があります。吸入で大切なことは、薬の効果を十分に得るために、吸入後苦しくない程度に息を止めることです。また、薬が口腔内に沈着したり吸入による副作用を防ぐため吸入後は水でうがいをして下さい。吸入が難しい場合は、吸入補助具があります。
6. インスリン自己注射について
血糖を下げる薬のインスリン注射には、速効型、中間型、混合型などいろんな種類があります。また注射器にもペン型注射器やキット製剤などさまざまです。それぞれ特徴がありますがちゃんと自己注射できていますか。
チェック項目
- インスリンの名前を知っていますか?
- 自分の製剤の色を知っていますか ?
- 自分の指示単位を知っていますか?
- 懸濁製剤の場合、泡が立たないように振っていますか?
- 空打ちは必ず実施していますか?
- 空打ちの目的を理解していますか?
- 注射部位の消毒はしていますか?
- 注射後数秒おいてから針を抜いていますか?
- 注射部位をもんでいませんか?
- インスリンを凍らせてはいけないことを知っていますか?
赤ちゃんへの薬の飲ませ方
くすりをのむ時間 は「しょくぜん or しょくご?」
赤ちゃんには1日に何度も授乳します。少し大きくなっても食事の時間は一定していません。そうすると1日3回食後服用という指示では、不適当な場合があります。
子供の薬は、ほとんどが胃に対する負担はそれほどありませんので、食事をしたかどうか、食事の前か後かということは、あまり気にする必要はないのです。
それよりも朝起きてから寝るまでの時間を均等に分けて薬を飲む間隔を一定にするやり方をおすすめします。
当院小児科の薬は、1日2回朝夕、または1日3回朝昼夕という指示になっています。抗生物質についても、1日4回6時間おきなどというように飲む時間を指定する場合がありますが、これでは夜中に必ず一度は子供を起こして飲ませなければならず、親も子もたいへんです。従ってこの場合も、起きている時間を均等に分けて、薬を飲ませるやり方をおすすめします。特に乳児では、ミルクを与える直前に飲ませるといいでしょう。授乳の直前ですと、おなかがすいているので味にかまわず飲んでくれます。
くすりの、のませ方のコツ!
みずぐすり
- スプーンを使って口の中へ注ぎ込む。
- 哺乳ビンを使って飲ませる。
- スポイドを使うときは、口のはしから中にむけてタラタラと流すように注ぎ込む。
こなぐすり
- 薬を少量の水にといて、粘土状にしたものをきれいに洗った手で口腔内(ほっぺの裏側や上あご)にぬりこんだ後、水かジュースで流し込む。それでも飲まない場合は薬に砂糖を混ぜてみる。
- 輪切りにしたバナナとバナナの間に、薬と砂糖を混ぜあわせたものをはさみスプーンでつぶしそれを少しずつ口腔内にぬり込む。
- アイスクリームに混ぜて少しずつ飲ませる。(冷たいものといっしょに飲ませると、薬の苦みに鈍感になり飲ませ易いものです。)
注意すること!
- 赤ちゃんの主食であるミルクにまぜたり、乳首の先につけたりして飲ませてはいけません。だんだんミルク自体が嫌いになってしまいます。(薬の中には混ぜていいものもあります)
- 内服薬を飲ませる場合、赤ちゃんの手足を毛布でくるみガッチリと抱きかかえ、ほっぺをおさえ口のなかに入れるようにすると割合楽に飲んでくれます。(飲み始めてくれたら、ほっぺを押さえる必要はありません)
外用薬
坐薬
そのままで入りにくい場合、水で少し湿らすとすんなり挿入できます。
ぬり薬
少量を、うっすらと伸ばすように塗って下さい。
子供の病気や子育てに関するホームページ (おすすめのサイト)
Q&A
Q1. 薬を飲む時間は?
食前 : 食事のおおよそ30分前
食後 : 食事のおおよそ30分後
食間 : 食事の2時間後
食直前 : 食事のすぐ前
食直後 : 食事のすぐあと
注意!
- 時間を指示されている時は食事に関係なく正確に飲んで下さい。
- 薬を服用する時は薬の効果をより高める為にも、少し多めの(少なくともコップ一杯の)水またはさ湯で、服用して下さい。
Q2. 身体の調子が良くなったので、薬を飲むのを途中でやめてもいいですか?
もらった薬は医師の指示が無い限り最後までのみきりましょう。
途中でやめたりすると、前以上に症状が悪化することがあります。
Q3. 薬をかんで服用してもいいですか?
錠剤やカプセル剤の中には、効果を長く持続させたりする為特別な剤皮が施されているものがあります。指示がある場合以外は、かんだり開けたりしないでそのまま服用して下さい。 また、薬を服用する時は、通常は水かぬるま湯で服用することを お勧めします。
Q4. 薬の保存方法は?
薬は変質しやすいものです。湿気、高温、日光をさけて保存して下さい。(特に夏は、車内に放置しないよう注意して下さい!)
また乳幼児の手の届かないところに保管して下さい。
Q5. 院外処方せんのメリットは?
- お薬について疑問があれば、街の薬剤師から十分に説明を受けることができ、普段から気軽にお薬の相談にのってもらえます。
- お薬をもらうために病院のロビーで長時間待つ必要がなくなります。
また街の薬局では、いつでもお薬を取りに行くことができます。 - 他科を受診の場合、同一効果のお薬の重複投与が防げます。
- 街の薬局では、あなたのお薬の管理簿を作成し記録しています。
お薬の変更、のみ合わせ等をチェックし、安心してお薬を服用できます。