形成外科

下肢創傷ケアセンターの紹介

主な対象疾患

  • 唇裂・口蓋裂
  • 手足の先天異常
  • 乳がん、頭頸部がんなど切除後の再建
  • やけどや顔面などの外傷 など

診断と治療方法

形成外科で対象になり、当院で主に取り扱うものについて記載しています。

全身麻酔や数日安静が必要な場合は入院とし、局所麻酔の小手術は通院で行います。また美容外科、レーザー治療は取り扱っておりません。

外傷

熱傷

重症の熱傷は命に関わりますので、初期の全身管理では形成外科をはじめ、救急科、麻酔科など複数の診療科で集中治療を行います。当院では現在2名の熱傷専門医がおり、また2台の熱傷用エアーフローテイングベッドを有し、治療に当たっています。

重症熱傷では救命し社会復帰をめざすまで、複数回の手術や長いリハビリが必要になります。リハビリテーション科や口腔外科と共にチームで協力し、患者さんのADLの改善をめざします。

顔面外傷

顔面の縫合が必要な切り傷、挫傷、打撲をはじめ、骨折や組織欠損などすべての顔面外傷を取り扱っています。骨折は鼻骨、頬骨、上顎、下顎骨折、多発骨折等ありますが部位により治療法や使用する材料が異なります。骨折が疑われる場合はレントゲンやCT撮影を行い、手術が必要な状態がどうかを検討します。

手足、その他外傷
手の切断

切断され、血行障害がある場合は早期の手術が必要になります。骨、腱、神経の縫合の他に、顕微鏡下に0.5〜1.0 mmと細い血管の吻合を行います。損傷の状態がひどく、この手術が困難な場合は皮弁手術などで良好な断端を保つべく処置を行います。

先天異常の疾患

唇裂・口蓋裂

口唇口蓋裂は頭蓋顎顔面領域で最も多い先天性の疾患の一つです。裂のみられる部位により口唇裂、口蓋裂に分けられ、その両方に症状がみられることもあります。口唇裂と口蓋裂をふさぐ手術は乳幼児期、幼児期に行いますが、成長にともないことばの治療、歯の矯正の治療、見た目の修正の治療、あごの発育の問題などがあり、少なくともあごの成長が完了する年齢まで歯科と形成外科で連携して診療を行います。

他顔面の先天異常

耳の形態異常(小耳症、埋没耳等)、先天性眼瞼下垂等があります。産まれてすぐは耳の軟骨が柔らかいので、矯正治療で改善が期待できます。

手足の先天異常

手足の合指症、多合趾症、多指症などの手術を行います。指を分ける手術では皮膚移植を併用することがあります。

腫瘍

形成外科では主に皮膚、皮下の腫瘍(ほくろ、粉瘤、脂肪腫)、皮膚悪性腫瘍(基底細胞癌、有棘細胞癌、悪性黒色腫など)の手術による切除(レーザー治療を除く)と、切除後に生じた欠損に対し再建術(植皮術、皮弁形成術、遊離皮弁等)を行います。

また頭頸部の癌(舌がん、上顎、下顎癌、下咽頭癌)で腫瘍を広く切除した後に、自家組織を移植する手術を行います。外科での乳癌の手術後の乳房再建術も形成外科で行います。

瘢痕・ケロイド

けがや手術後の引きつれで動くことに支障がある場合、手術やその他の方法で治療が行われます。

傷跡の腫れがひかず、「みみずばれ」の状態の場合は見た目だけでなく痒みや痛み、不快感が長期つづき、いわゆるケロイドとよばれる状態の可能性があります。部位や症状、体質などによりますが様々な治療法が選択されます。(非手術療法、手術療法があります)

難治性潰瘍・褥瘡

人間の体はトカゲのしっぽの様には再生しませんが、創傷治癒の過程を経て傷が修復、置換され治っていきます。様々な原因で傷が治らない場合、難治性潰瘍として様々な方面から治療を行います。 たとえば検査の結果血流障害がある場合は、血管外科と共に治療が必要となり、糖尿病がある場合は内科と共に治療が必要となります。

血行障害が進み不可逆性の壊死の状態となっている場合は断端形成術を行います。 治療は手術の他薬物治療、持続陰圧治療などを組み合わせて行います。 褥瘡は「とこずれ」のことで、自分で動けない麻痺や寝たきりの方、栄養がとれないかたはリスクが高くなります。

難治性潰瘍も褥瘡も高齢化に伴い、患者さんの数は増えることが予想されます。褥瘡を悪化させないために、看護スタッフ、NSTやリハビリを含めたチームでの取り組みが大事です。手術を行うかどうかは褥瘡の深さや患者さんの全身状態、合併症などを考慮し選択します。

その他

加齢に伴う眼瞼の変化(眼瞼下垂や眼瞼、睫毛内反)、顔面神経麻痺による顔面変化に対する治療、巻き爪、陥入爪に対する治療などを行っています。